Compliance
WEEE&RoHS指令
・『指令』とは
ここで用いている『指令』とは、EU(欧州連合)法の中の一つです。 EUは25ヶ国の加盟国によって構成されている組織で、EU法は加盟国から選出された代表によって構成された欧州委員会によって、各国国内法とは別にEU共通の利益のために加盟国全体に適用する法案を作成しています。 EU法体系は、拘束力の強い順に、@規則(Regulation)→A指令(Directive)→B決定(Decision)→C勧告・意見(Recommendation・Opinion)があり、Cの勧告・意見以外の法令には拘束力を持っています。
『規則』は、全ての加盟国に直接適用され国内法と同じ拘束力を持ちます。 『指令』は、加盟国で国内法を整備して効力を発するもので、加盟国の達成すべき結果を示し、その達成方法は各国に委ねるというものです。 『決定』は対象範囲を特定し、具体的な行為の実施、廃止等を直接的に拘束します。 『勧告・意見』については、欧州委員会の意思を表明したものであり、拘束力はありません。
・WEEE(ウィー)指令、RoHS(ローズ)指令とは
EUでは、1967年に採択された「67/548/EEC(化学物質の分類を表示に関する指令)」、1976年に採択された「76/769/EEC(化学物質の使用制限に関する指令)」のもとに様々な化学物質規制を作成し実施しており、その一つにWEEE指令、RoHS指令があります。 WEEE指令(Waste Electrical and Electronic Equipment=廃電気電子機器指令)は、10種類の対象製品の廃棄物について、その量と有害性を低減することを目的として、電気電子機器製造者に廃棄物の分別・回収システムの構築等を要求した内容となっています。 RoHS指令(Restriction of Hazardous Substances=家電製品に含まれる特定有害物質の使用制限に関する指令)は、WEEE指令における10種類の対象製品のうち、8種類の製品について、特定有害物質の使用を禁止する内容となっています。
・WEEE&RoHS指令の対象製品
対象製品は10製品群に大別されています。
(1)大型家庭用電気製品(冷蔵庫など)
(2)小型家庭用電気製品(アイロンなど)
(3)ITおよび遠隔通信機器(パソコンなど)
(4)民生用機器(テレビなど)
(5)照明装置(家庭用以外の蛍光灯など)
(6)電動工具(旋盤など)
(7)玩具、レジャーおよびスポーツ機器(ビデオゲーム機など)
(8)医療用デバイス(心電図測定機など)
(9)監視および制御機器(測定機器など)
(10)自動販売機類(飲用缶販売機など)
なお、RoHS指令は、現状では(8)と(9)が適用されていません。 恒久除外ではなく、2010年頃に法改正がされて、適用時期が明確にされると見込まれています。
・特定有害物質とは
RoHS指令の特定有害物質は次の6物質で、最大許容濃度は、カドミウム 0.01wt%(重量比)その他は0.1wt%となっています。
(1)鉛
(2)水銀
(3)カドミウム
(4)6価クロム
(5)PBB(ポリ臭素化ビフェニル)
(6)PBDE(ポリ臭化ジフェニルエーテル)
2006年7月1日以降はこれらの物質群を含有する製品は上市(販売)できませんが、RoHS指令の付属書で、真鍮中の鉛や蛍光灯の水銀など用途により特定有害化学物質から適用除外されているものもあります。 RoHS指令は、施行直前あるいは施行後にも適用除外が次々と官報で告示、あるいはTAC(技術審議委員会)で決定されていますので、常に最新情報の入手が必要です。
・日本の製造業への影響
これらの「指令」は、「EU加盟国」にあてた法律で、順守しなくてはならないのは「EU加盟国」です。 日本はEUに加盟しているわけではないので、日本国内の法律を合わせて整備する必要はありません。 しかし、規制の対象がEU域内で使用・販売されるものとなっています。 つまり、EU以外の国の製品であれ、EU域内へ輸出する企業はこれらの指令に対応した製品を製造しなければ、EU内に製品を輸出することができなということになります。 事実、2001年にオランダ税関で日本の大手メーカーのゲーム機にカドミウムが規制値以上に含有されているとして、輸入差し止めを受ける事件が発生しました。 日本の家電や電子機器製造メーカーにとっては日本の法規制の如何にかかわらず、これらの「指令」が事実上の標準、デファクトスタンダードとなっています。
・その他の関連規制
1.ELV指令(廃自動車指令)
ELV指令は、2000年に公布された指令で、自動車に関するリサイクル要求と、特定有害物質の含有制限の2つの要求がありWEEE指令とRoHS指令に類似しています。
有害物質規制は、重金属の4物質群です。
(1)鉛
(2)水銀
(3)カドミウム
(4)6価クロム
最大許容濃度はRoHS指令と同じ値で、電気電子業界と自動車業界は同じ規制をしています。
2.REACH規則
REACH規則(リーチ規則:Registration Evaluation and Authorization of Chemicals=化学物質の登録、評価、認可規則)はEU域内で使用される化学物質・化学物質を含む成形品、EUへ輸出される化学物質・化学物質を含む成形品の登録を要求するものです。
@R:データの登録(Registration)
化学物質を1t以上生産している企業は、金属および金属化合物を含めてその物質に関するデータを提出する。
AE:データの評価(Evaluation)
主に生産量が100tを上回る物質を対象に、規制当局は登録されたデータを分析し、物質ごとにさらに評価や試験が必要か否かを判断する。
BE:認可(Authorization)
発がん性、突然変異性、生殖毒性の物質(CMRs)と、残留性有機汚染物質(POPs)を認可対象とする。 REACH規則による登録期限は生産量と有害性により3年から11年と定められています。
化学物質管理のプログラムは、2002年に開催されたヨハネスブルクサミットで、2020年までに完了させることが決議されています。 これに合わせて、登録開始は遅くとも2009年から開始しなくてはならなく、公布は2007年から2008年と観測されています。
3.EuP指令
包括的製品政策(IPP)と第6次環境行動計画を背景として、2005年7月22日に公布されました。 京都議定書による地球温暖化ガス削減の数値目標達成が底流にありますが、原料採掘から、生産、使用、廃棄のすべてについて環境影響評価して、環境に配慮した「設計」・「モノづくり」を要求しています。
ライフサイクル全般の評価は、セットメーカーのみではできなく、サプライヤーはセットメーカーの要望により必要とする環境情報を提供することが要求されています。
一方、EuP指令とWEEE&RoHS指令は補完関係をもつと明確にされています。 省エネルギーによる地球温暖化ガス削減をするために、有害物質を使用するなどは認められません。 EuP対象製品はEuP指令の要求とRoHS指令の要求の双方を満さなければなりません。
4.中国RoHS弁法
中国版RoHS法と言われる電子情報製品汚染防止管理弁法が、2006年3月1日に公布され、2007年3月1日施行となっています。 特定有害化学物質は、RoHS指令の6物質に加えて、7番目として「国家が指定するその他の有毒有害物質」が追加されていますが、国家指定の有毒有害物質のリストは公開されていません。 最大許容濃度はEUなどとの国際整合をとるとのコメントがあります。
適用範囲は、電子情報製品で、「電子情報技術で製造した電子レーダーの製品」や「電子通信製品」など10製品群になっています。 弁法では、設計要求、生産要求、表示要求や環境保全使用期限の明示などが要求されています。 対象製品は電子情報製品ですが、その中から重点管理目録が作成されます。 重点管理目録の電子情報製品は、EUのCEマーキングに類似した仕組みのCCC(China Compulsory Certification)制度が適用されます。 重点管理目録に登録された品目は、CCCのマークがないと通関できないことになります。 実施時期は弁法第21条実施期限で「重点管理目録の電子情報製品は、産業発展の実情を考慮して、特定有毒有害物質の含有制限の期日を公布する」となっていますので、流動的な部分が多々あります。
5.資源有効利用促進法(J-Moss)
日本では資源有効利用促進法の政令が2006年3月17日に改正され、4月27日に省令が改正され、DfE(環境配慮設計)要求とJ-Moss(JIS C0950)による表示などが2006年7月1日から施行されました。 今回の改正で、輸入業者も対象となりました。
DfEの要求は、対象製品ごとの省令で「原材料の工夫」や「構造の工夫」などの具体的事項が例示されています。 DfEは原料製造、加工、使用、廃棄およびリサクルのすべてを考慮する「ライフサイクルシンキング」を基本としています。 サプライヤーを含む電気電子業界には、調達する部材に含有する化学物質の把握と管理が求められています。
対象品目は以下の7製品群です。
@パーソナルコンピュータ
Aユニット型エアコンディショナー
Bテレビ受像機
C電気冷蔵庫
D電気洗濯機
E電子レンジ
F衣類乾燥機
対象物質として、RoHS指令と同じ6物質と最大許容濃度を定め、用途の除外もRoHS指令に順次整合させるとしていて、RoHS指令との整合が取られていますが、大きな差異が2点あります。
(1)対象物質
RoHS指令は「特定有害物質」ですが、資源有効利用促進法は「特定の化学物質」で、有害性の有無ではなくリサイクルの高度化を念頭としたより広い概念を示しています。
(2)制限と表示
RoHS指令は製品への特定有害物質の含有制限です。 資源有効利用促進法は特定の化学物質が最大許容濃度以上含有する場合は、省令で「情報の提供はJIS C 0950による」としてJ-Mossによる表示が義務化されています。 特定の化学物質が最大許容濃度以下であれば、対象7製品群以外の電気電子製品でも任意でグリーンマークの貼付ができます。
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