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「労働契約法」制定の動き
厚生労働省は、労使間で労働条件などを決める際の基本的なルールや手続きを定めた「労働契約法」の制定をめざし、2007年の通常国会へ法案を提出する動きがあります。 なぜ今になって労働契約法か、といいますと、これには、就業形態が多様化し労働の最低条件を一律に定めた労働基準法などでは対応しきれなくなったことや、労働組合の組織率低下に伴う企業内での組合影響力の弱体化、正社員の長時間労働化(特にサービス残業の増加)の問題などがその背景にあります。 このような理由から、労使当事者が実質的に対等な立場で自主的に労働条件を決定することを促進し、労使紛争の未然防止を図るため、労働契約に関する公正・透明なルールを定める新たな法律の制定が求められているのです。
「労働契約法」制定の背景
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・就業形態の多様化に伴う個別労働紛争の増加 これまでの雇用形態は、単純に正社員と非正規社員(契約社員、パート・アルバイト)というくくりで分類されていましたが、近年、派遣社員をはじめ、SOHO契約、テレワークなど雇用形態が多様化し、その結果、労使間トラブルが複雑化し、現在の労働基準法のみでは対応しきれなくなっています。 ・集団的労働条件決定システムの機能の低下 労働組合の組織率が11年連続減少しており、企業内での組合影響力が低下していることから、“使用者側と労働組合の団体交渉による労働条件の決定”という従来のシステムが崩壊しつつあります。 このことから、集団的に労働条件を決定するよりも、個別契約的な労働条件の決定に関するルールを明確にしてトラブルを未然に防ぐ必要性が高まっています。 ・正社員の長時間労働化 厚生労働省は、年間総労働時間数1,800時間を目標としていますが、平成17年の白書によれば、実総労働時間は1834時間とやや減少傾向にはあるものの、その内訳は、パートタイマー等の短時間勤務者の労働時間が短縮傾向であるのに対し、正社員の長時間労働化は改善されておらず、その中でも、特にサービス残業の増加が問題となっています。 また、年次有給休暇の取得率も依然として5割を下回り、まだまだ低い水準となっています。 労働者が仕事の進め方・時間配分に対してより柔軟に対応できること、また、週40時間制にとらわれない働き方を求める要望が高まっています。 |
労働契約法案の概要
採用から退職までの労働契約についてのルールを明確化しようとするものが労働契約法ですが、制定準備が進められている概要については以下の通りです。
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@労使委員会を常設 労働条件を定める過程等の運用状況を常時調査討議し、労働条件の決定に多様な労働者の意思を適正に反映させることができる常設的な労使委員会制度の設置。 なお、この委員会は、労使同数で運営され、労働条件の変更やトラブルに関する協議を円滑に行うことを目的とする。 A労働契約の成立・変動・終了に関する要件と効果を規定 ・採用内定、試用期間(試用期間の上限の設定)、配置転換・出向(出向後も出向前の賃金水準を維持するよう出向元・出向先が保証)、転籍(転籍先の条件などを書面で示す)、懲戒、解雇(解雇の理由を文書で示す)、退職(雇用主側から働きかけた退職を受け入れても8日程度はクーリングオフが可能)等のルールの明確化 ・安全配慮義務、労働者の個人情報保護義務等の整備 ・「雇用継続型契約変更制度」の導入(契約内容の変更に不服でも、解決まで一時的に雇用主の要求を受け入れ解雇を防ぐ) ・解雇の金銭解決制度の導入の検討等(解雇が無効とされた場合でも、職場復帰せず金銭補償する道を開く) B有期労働契約の雇止めについてのルールの整備など有期契約労働者にも対応 |
労働契約法制定後の留意点
労働契約法が制定された場合、使用者側にとっては、以下のような対応が必要と思われます。
・交渉相手が組合から個人へと代わるので、これまで以上に社員個々に対する対応策が必要となる。
・契約がすべてとなり、就業規則の充実、各種契約書の整備が必須となる。
・採用、解雇についての恣意的な取り扱いは、今まで以上に問題化する表面化する可能性があるので、危機管理体制の強化が必要。
厚労省は、来年の通常国会への法案提出を目指していますが、労働界からは異論が少なくありません。 連合は「労使委員会制度は労働組合との性質や役割の違いが不明確」、「労使委員会の民主制確保のための方策が示されていない」などと指摘、全労連も「金銭解決制度は金で違法な解雇を合理化するもの。 リストラ推進法だ」と強く反発しています。 このように、現状では、労使の意見対立も少なくなく、論議は難航が予想されています。
しかし、立法の是非はともかくとしても、労使のトラブルが増加している現状を考えますと、使用者側でもそれなりの準備をしておくことが大切と思われます。 特に中小企業では、社内に人事・労務の専門家がいなかったり、就業規則などの規程類も旧態依然のものを使用しているなどの例も見られますのでトラブルを回避するためにも早期に整備されることをおすすめします。
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